写真で見る~明治時代の職業と暮らし~
明治時代のライフスタイル 激動の時代を生きた日本人の生活
明治時代というとどのようなイメージを持つでしょうか?
江戸時代までの武士たちの時代が終わり、近代化が始まった華やかなイメージでしょうか?
ただそこには、当時の日本の人々の試行錯誤と並々ならぬ努力がありました。
欧米列強国とのせめぎ合いの中、手探りで日本という国を変えていきました。
そのような中で当時の日本の人々はどうように生きていたのでしょうか?
当時の人々の様子を見ることができる貴重な写真が残されていました。
明治時代に実際に日本を訪れ、日本人の日常生活を写真に撮影していた外国人がいました。
アーノルド・ジェンスというドイツ系アメリカ人の写真家です。
彼は明治後期の1908年(明治41年)に半年間日本に滞在し、その間に当時の明治社会の様子を写真に残しました。
彼の死後、彼の作品の多くはアーノルド・ジェンス・コレクションとしてアメリカ議会図書館に所蔵され、明治社会を撮影した写真も残されておりネットで公開されています。
■1908年(明治41年)の日本
写真では家屋のつくりや服装はまだ変わっておらず、立ち並んでいる電柱から明治時代の近代化を感じます。
海外では、電線の地中化が早くから進んでいる国もあり現在の日本は電柱が多い国だとされています。
外を歩く時に電柱の数を意識すると日本の景観の中に電柱が多いことに気付くかもしれません。
また、海外の街並みと日本の街並みを比べて見ると景観の違いに驚くこともあるかもしれません。
こちらの写真では、同じ通りを明治時代に発明された人力車が走っています。
明治後期に撮られた写真ですが、江戸時代までの街並みの中に少しずつ新たな文明が取り入れられていったことが分かります。
明治5年には新橋-横浜間の鉄道が開業し、鉄道網が全国に広がっていったことや鉄道馬車の登場もあり人力車夫の仕事は簡素になっていったようです。
この写真からは明治時代の後期でもまだ街並みは江戸時代から大きく変わっていないように感じます。
明治時代は文明開化・近代化のイメージが強いですが実際の暮らしはそう簡単には変わらなかったことがよく分かる写真です。
こちらの女性はドレスのような洋服を着ています。
大半の人々の生活は明治時代の後期になっても変わっていなかったようですが、当時ではまだ多くはないと思われますが中には時代と共に変わっていった人々も確かにいたようです。
明治時代は近代化そして文明開化の時代というイメージがありましたが、アーノルド・ジェンス氏の写真から明治時代はまだ江戸時代の街並みを多く残しており、その中に外灯や電柱など新たな技術や文化が少しずつ取り入れられていったことが分かります。
これらの写真から欧米列強国に対するために急速な制度や文化の変化を進めた明治時代を生きた人々は、すぐにはライフスタイルを変えていけたわけではなく、少しずつ新しい文化や制度を受け入れ今日の生活の基盤をつくり上げてきた歴史を感じます。
街を歩いている時に、かつての時代と今日の時代を比較して考えてみると新しい発見や知識が増えるのではないでしょうか?
参考文献:清水勲 『ビゴーが見た明治職業事情』 講談社学術文庫 2009
参考ページ:
Library of Congress (アメリカ議会図書館)/ Genthe Collection
URL:
https://www.loc.gov/pictures/search/?q=Genthe+japan&sp=1
NPO法人 電線のない街づくり支援ネットワーク
URL: https://nponpc.net/2020/02/21/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%81%AE%E9%9B%BB%E6%9F%B1%E5%95%8F%E9%A1%8C/